また、幸いなことに三人のお子さんのうち、遠方で学生生活を送っていた上二人がここ数年で就職して経済的に自立したことに加え、三人目が地元の国立大学に通うことになり、学費の負担もかなり軽減されていたといいます。
一階の賃料、及び割増となった退職金などによりローンを返済する目処が立ったことから、Tさんは次のステップに踏み出すことを決断します。
会社との間では三回の面談予定が組まれていましたが、一度目の面談できちんと話を聞いたうえで、二度目には早々に印鑑を押して退職者募集に応じたといいます。
「過去の歴史のなかで徐々に積み重なってきたことですが、同業他社と比べて社員の平均年齢も、男性社員の比率もかなり高くなっていましたから、経営サイドとしては今回のような組織のスリム化は避けて通れない道だったのかなと思います。
こういうことになったことについて、いろいろと会社に対して批判的なことをいう人もいましたが、僕個人としては、そんなことをいつまでもぐちぐちいっててもしょうがない。
『不安はあるけど、前に進むしかない』。
そういう気持ちでした」二00二年三月末日退職。
Tさんの十八ヵ月に及ぶ再就職活動がはじまりました。
再就職活動を開始するにあたって、業種や職種、規模など、具体的な希望は描けていませんでしたが、Tさんが考えたのは、「できればネクタイをしないでもいい仕事」「身体を動かす仕事」「できれば六十歳以降も続けられる仕事」ということでした。
職業訓練校では、いままでまったくなじみのない造園園芸の分野を選びました。
そこで三ヵ月間受講することによって、「毒物劇物取扱責任者」、それからユンボなどの「小型車両系建設機械」の運転免許を取得しました。
そしてその分野について勉強するなかで、「グリーンアドバイザー」なる資格があることを知りました。
受験資格というのが定められており、一つは、園芸関連業務について一年以上の実務経験があること。
二つ目は、関連の学校を卒業していること。
これは短大とか単なる農業大学では駄目で、ちゃんとした園芸学科で学んでいること。
それから三つ目は、園芸に関する地域活動の指導的役割を果たすなど、園芸に精通している者。
つまり、講演などができるぐらいの指導的な見識を持っているとみなされる人。
以上三つのどれかの条件にあてはまらないと、受験(講習十認定試験)することができないのです。
その後、Tさんはグリーンアドバイザーの資格取得に向けた活動に励みます。
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